色とりどりのエアー・ラインの テールマーク｡

泉州沖の関西國際空港には､
沢山の航空会社が乗り入れてます｡

その関西新空港から世界に飛び立つエアー・ライン各社の飛行中の楽しみはと云うと､密閉された機内では まあビデオ映画の上映か それぞれ各国のお国柄を反映した エスニックな機内食 と云った所でしょうか｡

ギャレーからプーンと食事の香りが漂ってくると､スチュワーデスがにこやかに配り始めるのは
美しくプリントされたご自慢のメニュー｡

メニューの中身は違っても、どこのエアー･ラインもきっちり共通してサーブする飲み物があります｡

それは食後の 《コーヒー》か《紅茶》です｡
コーヒーは 大概どこも一緒のスタイルですが､紅茶の出し方は
エアー･ラインの国籍によって断然違います｡

日常の紅茶消費が多い英国航空を含めカンタス航空や ニュージランド航空など旧英領諸国の航空会社は おおむねきっちりとした ミルク・ティーのスタイルが多いようですが､ なんと 機内で使われている茶葉の種類は
簡単な ティー･バッグが圧倒的です｡

同じ旧英領と云っても、中国に返還された香港を基地とするＣ航空は､ 紅茶をレモンで飲む習慣がまだ多い日本の乗客を 意識しての事でしょうか､ ティー･サービスはレモンとミルク｡

そして使われる紅茶の種類は､
ここもやっぱり簡単な安物のティー･バックをシャバシャバとポットに入れて出してきます｡

日航とても同じ事で､ ただ､ 大勢の人にサーブできるよう大型のティー･バッグの袋をポットの熱湯にポイといれるだけなのです｡

<お湯で割ったらアメリカン>
とも云われるくらい 薄いコーヒー好きの米国系統の航空会社と云えば､ 紅茶のいれ方は大体お粗末な傾向で､勿論紅茶は簡単なティー・バッグの《行水》です｡

Ｎ航空会社の紅茶などただ色つきのお湯って感じの紅茶が出てくる場合が多い事を経験した人も多いと思います｡

こうして比較してみると､機内での紅茶の出し方は 乗務員の日常の食生活が反映されている可能性は大いにありそうで､そのいい例が世界の紅茶の半分を生産するインドです｡

｢Tea or Coffee?・・・」
ここはエア・インディアの機内。
緑色のサリーの折り返しをひらひら靡かせて、にこやかに微笑んだスチュワーデスが狭い通路を 紅茶とコーヒーのポットを両手に持ってやってきます。

聞くところによると、インド行きの往路で、お客の６割から７割が
コーヒーを注文するのだそうです。

反対にインド発の復路では、圧倒的に 「Tea, Please｣となると言いますから驚きです｡

矢張り本場インドで飲むミルクで煮出したチャイ と呼ばれるあのトロッとした紅茶が辛いカレーの後では美味しく感じたのかもしれません｡

紅茶生産国のエアー・ラインなら､紅茶の葉も品質の高いものを使うのかなとギャレーを覗いてみると意外にもここでもドロッとした濃い紅茶が出る安もののティー･バッグを使っているのです｡

インドは品質の良い高級茶葉は輸出に回し､自分達の日常生活では少量でドッと色やコクの出る
加工茶を飲んでいます｡

従って 機内の紅茶サービスも次分達が日常飲む品質と同じ感覚なのかもしれません｡

「本物の茶葉は使わないの」 と
聞きますと､
「ランチ･メニューはティーバッグですが､夕食のディナーには,
ティー(茶葉)を使っていますよ」
との答えが帰って来ました｡

数千年の歴史をもつ中国茶に比べるとまだ数百年の歴史しか経たない紅茶が､この様に色々な飲み方を反映して手軽に世界の空を飛ぶ時代です｡

コーヒーに比べるとその消費量は微々たるものですが､利尿効果や健康に宜しいとの事で結構紅茶ファンが多くなって来ているようです｡